芸能人の浮気をメディアで見たり、友人や知人の不倫を知った時に「浮気は犯罪行為だから罰せられる」「浮気者は犯罪者だ」などとSNSなどで書き込まれているものが散見されますが、浮気や不倫は犯罪なのでしょうか?
戦前まで浮気や不倫は犯罪だった?
現在の日本では「浮気や不倫は犯罪ではありません」
しかしながら戦前までは刑法に姦通罪というものが存在しました。「姦通」とは道徳や法にそむいた関係をもつことをいみするもので、特に既婚者が配偶者以外の異性と肉体関係をもつことです。(不義密通などとも言われていました)
姦通罪は夫がいる女性とその相手となった男性のみが処罰されるというもので、妻がいる男性が妻とは別の女性と関係を持っても処罰されないという不平等なものでした。民法でも女性側の姦通は離婚原因となるが、男性側の姦通は姦通の相手として処罰された場合に限り離婚原因とされていました。
戦後に現在の日本国憲法が制定され「両性の本質的平等(男女平等)」が定められ、男女平等に反して違憲であると判断されたため姦通罪は廃止されました。
浮気や不倫はどのような責任を負う?
浮気や不倫は刑法上の犯罪ではありませんが民法上の「不法行為」です。
不法行為とは故意や過失によって他人の権利や法律上保護される利益を侵害し損害を発生させることです。民法709条には「不法行為」が定められており「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」とされています。つまり浮気や不倫をした場合に浮気調査などによって不法行為が明らかとなり、相手方に配偶者がいれば不法行為があったとされ損害賠償請求をされる可能性があります。
(不法行為による損害賠償)
- 第709条
- 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
また、浮気や不倫は夫婦の貞操義務に違反する行為で法律上「不貞行為」と呼ばれます。不貞行為は民法770条で定める離婚原因にあたりので浮気や不倫をした場合は離婚原因にもなり得ます。さらには離婚に至った際には慰謝料を支払う義務を負います。
(裁判上の離婚)
- 第770条
- 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
- 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
- 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 三 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
- 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
- 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
浮気や不倫の証拠とは?
不貞行為を理由に裁判離婚や慰謝料請求する場合に請求する側は配偶者と浮気相手との「性行為(肉体関係)を確認ないし、推認できる証拠」を立証する必要があります。例えば、一緒に食事や買い物をしている様子だけでなく、同一の相手とラブホテルや相手の自宅などへの出入りなど肉体関係を状況的に証明できる証拠を複数回集めることが必要になります。
浮気や不倫の証拠については下記ブログ記事も御覧ください。